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428 手小屋
手小屋は怪異の一種です。
群馬県みなかみ町に伝承があり、これは『群馬県史』に次のような話が記されています。
その昔。
木こりたちが木の切り出しをするため、「ボンデン岩」と呼ばれる場所に飯場の小屋を建て、そこで5升炊きの大釜で飯を炊いていると、天井から毛むくじゃらな赤い手が降りてきました。
その手は釜の中の飯を一握りほど掴みましたが、飯が炊きたてで熱かったようで、手を大きく振ってから天井裏に引っ込みました。
このとき。
手の正体はわかりませんでしたが、あたりに飛び散った飯が黄色くなっていたといいます。
この手小屋の怪異。
それ以後、二度と起こることはありませんでした。
飯場小屋から手を引きました。
・手を引く=手を引っ込める
・手を引く=関係を断ってしりぞく




