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427 雨魚坊主
雨魚坊主という妖怪がおります。
雨魚は川魚のアマゴのことで、これは和歌山県有田郡有田川町に次のような話が伝わっています。
この雨魚が長い年月を経ると雨魚坊主に化けるといい、これは悪知恵にたけており、坊様姿で人家をまわって悪いことばかりをしていました。
見た目は徳の高い坊様なので、これを知らない人は手厚くもてなすのですが、それをいいことに次々と人々を化かして惑わしたといいます。
そんな雨魚坊主も、元は川魚であるため水鳥が大の苦手でした。
特に魚を丸呑みする鵜は天敵であり、鵜の鳴き声を聞いただけで、一目散に逃げ出したといわれています。
あるとき。
雨魚坊主の行く手に鵜が現れました。
「ウッ!」
・ウッ=鵜=うっ




