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4 八百比丘尼
八百比丘尼は北海道と九州南部以南を除く日本各地に伝承があり、比丘尼とは出家した女性の修行者のことをいいます。
飛鳥時代。
ある男が知人の屋敷に招待され、帰り際に土産をもらい受けて持ち帰りました。
土産は人魚の肉で、それを知らずに食べた男の娘は不老長寿を得ました。
その後。
娘は長寿がゆえに、幾人もの夫と死別し、まわりのみなが次々と死んでいきました。
世を儚んだ娘は比丘尼となり、人目を忍んで全国各地を巡業しました。
この八百比丘尼。
最後は若狭の空印寺にたどり着き、寺のそばにあった洞窟にこもって即身成仏となりました。
このとき八百歳でした。
八百比丘尼は儚くシガナイ女でありました。
・シガナイ=しがない=死がない
・即身成仏=人間がこの世で生まれた肉体のまま仏になる