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399 海難法師1
海難法師は海の水難事故で死んだ者の霊で、伊豆七島に次のような話が伝わっています。
寛永5年。
当時の八丈島など伊豆七島は、豊島忠松という代官が治めていたのですが、悪政がゆえに島民たちにひどく憎まれていました。
ある日。
島民らは忠松の殺害を企て、海が荒れる日を選んで島巡りをするよう勧めました。
忠松は島民の罠にはまり、悪天候のもと船で海に出て、波に呑まれて沈んでしまいました。
それ以来。
毎年1月24日、忠松の霊は海難法師となり、盥に乗って島々を巡るようになりました。
ですが、どの島も海難法師の盥が着くと、すぐに隣の島へと送り届けたといいます。
この海難法師。
タライまわしにされました。
・タライ=盥
・たらいまわし=限られた範囲内で順送りにする
・寛永五年=1628年




