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397 ペンタチコロオヤシ1
ペンタチコロオヤシという妖怪がおります。
樺太のアイヌに伝承があり、名称は「松明をかざすお化け」を意味し、これは夜中に何本もの松明を持って横行し、道行く人に様々な怪をなしました。
その昔。
樺太東海岸にあるコタンケシという村の村長が、夜道で何本もの松明の灯りに遭遇したのですが、そのとき松明の灯りが襲いかかってきました。
村長は持っていた刀で必死に対抗しました。
するとどこから集まってくるのか、ペンタチコロオヤシがあちこちから現れ、そのうち村長は力尽きて気を失ってしまいました。
翌朝。
村長が目を覚ますとまわりに、ワタリガラスの死体が無数に転がっていたといいます。
このペンタチコロオヤシ。
烏合の衆でした。
・烏合=ワタリガラス
・烏合の衆=規律も統制もなく、ただ寄り集まっているだけの集団
・松明=木材あるいは木片を束ねて火をともす屋外用の照明具
 




