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39 九尾狐
九尾狐という妖怪がおります。
九尾狐は中国から渡来した九本の尾を持つ妖狐で、日本の国を滅ぼそうとしますが、陰陽師に正体を暴かれて退治されてしまいました。
ただ肉体は滅んでも怨念は残り、それが一つの殺生石となって、近づく者をことごとく死に至らしめたといわれています。
ある日。
玄翁という和尚が金づちで殺生石を叩き割り、九尾狐の毒気を封じました。
これを聞きつけ、別の九尾狐が駆けつけてきたのですが、やはり玄翁和尚に叩き砕かれました。
その石のかけらは国中に飛び散り、これを踏んだ者の足にはイボができたといいます。
この2匹の九尾狐。
イボ兄弟だったのでした。
・イボ=いぼ=異母
・玄翁和尚(げんのうおしょう・1329~1400・南北朝時代の曹洞宗の僧)




