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387 焼鼠
焼鼠は江戸時代後期の仏教説話集「尾張霊異記」に次のような話があります。
「火事の跡などには大量のシラミが湧くが、それは鼠の糞が焼けて、それがシラミになるからだという。
名古屋の御園町あたりに嶋屋甚右衛門という人が住んでいて、彼は長く疥癬を患っていたのだが、鼠を食うと効能があると聞いて食ってみたところ、ことごとく治った。
また焼鼠はことのほか美味だったので、その後も鼠を捕らえては焼いて食っていた。
弟子たちも焼鼠の味を覚えて、みんなして食っていたところ、身辺に大量のシラミが湧いて困ったことになった。
それで鼠を食うのはやめることにしたという」
この焼鼠。
焼かれてフンガイしたのでした。
・フンガイ=糞害=憤慨
・『尾張霊異記(おわりりょういき』(富永静幽編・仏教史伝)




