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38 影女
影女という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺』に描かれ、月影に照らされた女の姿が、障子に影として映るものが影女といわれています。
月夜の晩。
山形県の鶴岡城下に住まう酒井吉左衛門が、友人と酒を飲んでいると、怪しい女の影が縁の障子に映りました。
二人が無視していると、その影は消え、やがて今度は庭に現れました。
ですが、家の中に入ってくることはありません。
影女は影であり、決して月明かりからは出られないのでした。
この影女。
今でも都市伝説としてあります。
現代では車の後部座席に現れ、そんなときドライバーは車道の外に逃げると助かりました。
影女はシャドウであり、決して車道からは出られません。
・シャドウ=車道=影
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔百鬼拾遺』(こんじゃくひゃっきしゅうい)




