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375 送り拍子木
送り拍子木は、音の怪異の一種で、江戸の本所を舞台とした「本所七不思議」の一つです。
江戸時代の頃。
江戸の割下水付近で次のようなことがたびたびあったといいます。
町火消の男が「火の用心」と唱えながら、拍子木を打って夜回りをしていると、打ち終えたはずの拍子木の音が同じような調子で繰り返し聞こえてきました。
その拍子木の音は、あたかも自分を送っているかのように聞こえ、男が誰だろうかと何度か振り返ってみたものの、そこには誰もいませんでした。
また雨の日。
誰も拍子木を打っていないのに、町中で拍子木の音が聞こえてきたという話もあります。
この怪異。
何かの拍子で聞こえたことだといわれています。
・拍子=拍子木
・拍子=何かが行われたちょうどそのとき
・本所七不思議=本所(東京都墨田区)に江戸時代ころから伝承される奇談・怪談
 




