371/925
371 飯寺村の黒入道
飯寺村の黒入道は江戸時代中期、三坂春編の『老媼茶話』に次のような話があります。
「会津の飯寺村に慈現院という生きながら入定した山伏の塚があり、今でも深夜に訪れるとホラ貝を吹く音が聞こえるという。
ある夜。
某男がここを通ると山伏がいて鉄の網を張り、その網には稚児の首がいくつもかかっており、そばでは六尺あまりの黒入道が口から火を噴き出していた。
男はそこへ走りかかり、黒入道の頭を力の限り切りつけたところ、山伏と網は消え、真っ暗な闇に戻った。
翌朝。
男が昨晩の道筋を訪れると、天窓半分が切り砕かれた五輪塔が倒れていて、それには血痕がついていたという」
この黒入道。
ゴリンジュウになっていました。
・ゴリンジュウ=五輪塔=ご臨終
・三坂春編(みさかはるよし・1704?~1765・会津藩士)
・『老媼茶話』(ろうおうさわ・会津地方の怪談奇話)
 




