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37 提灯お化け1
提灯お化けという妖怪がおります。
これは古い提灯が上下にパックリと割れ、そこから長い舌がダラリと出て、上半分に一つないし二つの目があるのが一般的ですが、提灯から顔、手、体、翼が生えていることもありました。
夜になると、提灯お化けは火を灯して浮遊するのですが、人に危害を加えることはなく、なぜか蛙を好んで食べました。
この夜。
提灯お化けは腹ごしらえにと、暗い池の淵に座って火を灯していました。
火には羽虫が集まってきます。
その羽虫を狙って蛙が寄ってきます。
提灯お化けは次々と蛙を捕まえ、蛇のように丸飲みにしていきました。
この提灯お化け。
生まれもっての蛇腹でした。
・提灯=蛇腹折り
・蛇腹=山折りと谷折りの繰り返し構造




