369/924
369 山颪
山颪という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にあり、頭部にはおろし金の突起が並んでいて、画面内には貝杓子や、すり鉢などの台所道具が描かれています。
その解説文。
「豪猪といへる獣あり。山おやじと云ひて、そう身の毛はりめぐらし、此妖怪も名とかたちの似たるゆへにかく言ふならん」と記し、おろし器の突起をヤマアラシである豪猪の棘に例え、また「おろし」と「おやじ」が似ているとしています。
平成以降の解釈。
山颪はおろし器の付喪神で、棘が刺さるような冷たい風を山から吹き下ろすとされています。
この山颪。
人の風上に置けませんでした。
・風上に置けない=卑怯で道徳心に欠ける人間を罵る言葉
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『百器徒然袋』(ひゃっきつれづれぶくろ)




