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363 五徳猫
五徳猫という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にあり、2本の尻尾を持つ猫が五徳を冠のように頭に乗せ、火吹き竹を持って囲炉裏で火を起こしている姿が描かれています。
その解説文。
「七徳の舞を二つ忘れて五徳の官者と言ひしためしもあれば、この猫もいかなることをか忘れけん」と記し、これは器物の五徳と『徒然草第二二六段』の五徳の冠者の語呂あわせをしたものだといわれています。
五徳とは火鉢や囲炉裏で鍋や薬缶などを乗せる台足のことで、輪の形の台に3本ないし4本の足があります。
二つ忘れて五徳とされた、五徳猫。
オカンムリでした。
・オカンムリ=冠=おかんむり
・おかんむり=機嫌が悪い、怒っている
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『徒然草』(つれづれぐさ・随筆)




