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362 すねこすり1
すねこすりという妖怪がおります。
岡山県に伝承があり、これは雨の降る夜に現れ、道行く人の足にすり寄ってきて、股の間をこすりながら通り抜けていったといいます。
見た目は犬か猫のようですが、その正体は狸の化け物だといわれ、これに遭遇した者はつまづくか、最悪でも転ぶくらいで、特に目立った危害はありませんでした。
ある雨の夜。
一人の商人の男が、提灯を手に家路に向かっていると、犬のようなものが足元にすり寄ってきて、それから股の間を通り抜けていきました。
男はおもわず転びそうになりました。
「こらっ、どこを通ってるんだ!」
すねこすりが振り返り、手でバイバイしながら去っていきます。
「マタねー」
・マタね=またね=股ね




