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36 前鬼・後鬼
前鬼・後鬼は、修験道の開祖である役小角を主とする夫婦の鬼です。
夫の前鬼は陰陽の陽を表す赤鬼で鉄斧を手にし、役小角の前を進んで道を切り開き、仏具を入れた竹の箱を背負っています。
妻の後鬼は陰を表す青鬼で、霊力のある水が入った水瓶を手にし、こちらも種を入れた竹の箱を背負っていました。
二人は生駒山地に棲み、常日頃より人に災いをなしていました。
ある日。
役小角は二人を戒めるため夫婦の家を訪れると、子供を殺された親の悲しみを教え、その罪滅ぼしとして二人の子を煮え湯の入った釜の中に入れるので、鉄の釜を用意するよう伝えました。
後鬼が我が子をかばって声を荒げました。
「カマワナイで!」
・カマワナイ=釜はない=構わない
・役小角(634~701伝・飛鳥時代の呪術者)




