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351 男に変じた女
男に変じた女は江戸時代後期の医者、橘南谿著『北窓瑣談』に以下のような話が記されています。
一つ目の話。
阿波の国の勝瑞村に住む作者の門人、橘春庵から聞いた話。
「勝瑞村の隣にある定方村に綱という女がいたが、15、6歳のときに男子に変じた。
それで名前を綱平と改めた。
綱平はこの寛政6年で34、5歳になるが、たいそう大柄のたくましい男であり、今は妻帯しているという」
二つ目の話。
こちらは京都の中山元倫から聞いた話。
「備中の国の檜物屋の娘、松という女は17、8歳のときに発熱したのだが、このとき何かが憑いたのか男子に変じた。
松は松之助と改名したという」
この松之助。
何かがツイタのはタマタマでした。
・ツイタ=憑いた=付いた
・タマタマ=たまたま=玉玉
・橘南谿(たちばななんけい・1753~1805・医者)
・『北窓瑣談』(ほくそうさだん・随筆)
 




