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345 札返し
札返しは悪霊の一種です。
これは江戸時代後期の狂歌絵本『狂歌百物語』にあり、それには足のない幽霊の姿で描かれています。
神仏の像や名が書かれた護符などのお札が家の戸などに貼られてあると、札返しは家の中に侵入することができず、また貼られたお札をはがしたくても、自分の手で触れることができませんでした。
そこで札返しは生きている人間をおどしたり、賄賂を渡したり、何らかの見返りを約束することで、お札をはがしてもらおうとします。
このとき賄賂などが欲しくて協力した者は、あとで必ずその報いが訪れたとされ、札返しが現れるところには、常にお札が貼られてあったといいます。
この札返し。
札付きのワルでした。
・札付き=札返
・札付き=定評のあること。特に悪い評判が定着していること
・『狂歌百物語』(1853年刊行の狂歌絵本)
・護符=お守り、魔除け
 




