336/932
336 本木村の化物
本木村の化物は江戸時代中期、貝原益軒の地誌『筑前国続風土記』に次のような話があります。
延宝8年。
毎夜、筑前の本木村に化物が出没するようになったのですが、正体もわからないまま年月が過ぎていきました。
五年後。
藩主より庄屋のもとに名犬が届き、化物も恐れをなしたか鳴りをひそめました。
ある夜、化物が久々に姿を見せました。
化物は犬との激しい格闘の末、犬にカミソリのような傷を負わせて逃げ去りました。
その後。
事件が収束したのは元禄7年で、同12年に床下から化物の骨が見つかり、庄屋が藩に提出した報告の写しとされる文書には、この化物の頭の骨の図が添えられています。
この本木村の化物。
最後まで骨のある化物でした。
・骨のある=強くしっかりした気概を持つさま
・貝原益軒(かいばらえきけん・1630~1714・儒学者、儒学者)
・『筑前国続風土記』(ちくぜんのくにぞくふどき・地誌)




