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331 いそがし
いそがしという妖怪がおります。
江戸時代の妖怪画集『百鬼夜行絵巻』には名前と絵のみで解説文などが一切なく、どのような妖怪だったのかわかっていません。
鳥山石燕は『百鬼夜行絵巻』の同じ絵から、妖怪画集『百器徒然袋』のうちの「天井嘗」を創作したといわれています。
昭和の時代。
漫画家の水木しげるは、これを「憑き物」として紹介しており、「そわそわしている人」はこの妖怪がとり憑いているからだと説明しています。
また『水木しげるの憑物百怪』や漫画『妖怪博士の朝食』に登場させたことで、この妖怪は広く顔が知られるようになり、あちこちに登場する機会が増えていきました。
このいそがし。
水木氏によって忙しくなりました。
・『百鬼夜行絵巻』(日本の絵巻物で多数の作品が現存)
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『百器徒然袋』(ひゃっきつれづれぶくろ)
・水木しげる(1922~2015・漫画家、妖怪研究家)




