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324 荒川弾正
荒川弾正は河童の一種です。
熊本県天草郡五和町に伝承があり、これは鬼池の宮津に棲んでいた河童の大将で、多くの家来を従えていたといわれています。
荒川弾正は身体が大きく背には苔が生え、ほかの河童と違って人の尻子玉を取ることはありませんでした。
また宮津の者が溺れていれば、たとえそれが他国の川や池であっても、神通力を使って助けるという奇特な河童でした。
あるとき。
薩摩川内川で数名の者が溺れたところ、宮津の者だけは弾正の家来に助け出され、他の地域出身の者たちはみな溺れ死んでしまいました。
家来から報告を受けた弾正は、満足そうに何度もうなずいたといいます。
「よカッパばい、よカッパばい」
・よカッパばい=よかったばい=よ河童
・尻子玉=肛門の所にあると考えられた玉




