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306 津軽の太鼓
津軽の太鼓は、江戸の本所を舞台とした「本所七不思議」の一つです。
江戸時代の頃。
江戸本所にあった弘前藩津軽越中守の屋敷には火の見櫓がありました。
通常、火の見櫓で火事を知らせるときは板木を打ち鳴らすのですが、なぜかこの屋敷の火の見櫓には板木ではなく太鼓が下がっており、火事の際には太鼓を打ち鳴らしていたといい、火事が発生すると太鼓の音が聞こえました。
火事の際に太鼓の音。
これは近隣の者を惑わせることとなり、ついに幕府から「太鼓を板木に換えよ」とお達示が出ました。
このとき。
津軽越中守の屋敷の火の見櫓も板木となりました。
この津軽の太鼓。
将軍様の命とあらばイタしかたなかったのです。
・イタしかたなかった=板しかたなかった=致し方なかった
・本所七不思議=本所(東京都墨田区)に江戸時代ころから伝承される奇談・怪談




