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294 柳婆2
柳婆は柳の木の怪異です。
江戸時代後期、桃山人の奇談集『絵本百物語』にあり、これに油断してはならないと戒めています。
また古書『奇談類抄』に次のような話があります。
その昔。
常陸国鹿島に樹齢千年以上の柳の木があり、この柳の木が美女に姿を変えて人を惑わしたり、またあるときは老婆に姿を変えて、道を行き来する人々に声をかけたといいます。
このように柳の木が、「老い、病気、死」などと関連しているという俗信は日本各地にありました。
さらに柳の枝の垂れ下がる様が老婆の姿をイメージさせることから、柳の木の怪異は柳婆の精だという伝承が生まれたといわれています。
柳の木の怪異。
この柳婆のセイでした。
・セイ=せい(所為)=精
・桃山人(とうさんじん・1804~1844・戯作者)
・『絵本百物語』(1841年刊行・奇談集)
・『奇談類抄』(詳細不明)




