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291 為憎
為憎という妖怪がおります。
為憎は江戸時代後期、作者不明の妖怪絵巻『化け物尽くし絵巻』にあり、大きな丸い耳、異様に長い髪をした、そんな薄気味悪い女が胸元の着物を大きくはだけ、流し目で立っている姿が描かれています。
これは為憎という名前からして、何らかの言葉遊びで作られたのではないかといわれています。
図画に説明文がないため、どのような妖怪であるかは不明ですが、男を誘惑するような女性の姿で描かれていること、また「憎い」が好きな男に対し憎らしく思うときに使われることもあることから、「愛情」の裏返しの「嫉妬」の化け物だともいわれています。
「為憎、おまえの正体は嫉妬なのか?」
「そうジェラシ」
・そうジェラシ=そうジェラシー=そうじゃらしい
・『化け物尽くし絵巻』(作者不詳・江戸時代後期の妖怪絵巻物)




