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288 塵塚怪王
塵塚怪王という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にあり、塵塚怪王が唐櫃を開けているところが描かれています。
室町時代の『百鬼夜行絵巻』にも唐櫃をこじ開ける鬼がいて、吉田兼好の『徒然草第七十二段』には、「多くて見苦しからぬは、文車の文、塵塚の塵」という文章があります。
石燕は『百鬼夜行絵巻』や『徒然草』から多くを引用していることから、これもこの二作がもとになったといわれ、この解説文には「塵塚怪王はちりつもりてなれる山姥とうの長なるべし」とあり、塵塚怪王は「山姥」をはじめとする山の妖怪たちの王だとしています。
チリも積もればヤマとなります。
・チリ=塵塚の塵
・ヤマ=山の妖怪
・塵も積もれば山となる=小さいことでも積み重ねることによって大きくなる
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『百器徒然袋』(ひゃっきつれづれぶくろ)
・吉田兼好=(1283~1352・歌人・随筆家)
・『徒然草』(つれづれぐさ・随筆)




