281/922
281 テツケン
テツケンという妖怪がおります。
これは秋田県由利郡東由利町に次のような話が伝わっています。
ある日。
三人の猟師が山中の小屋に泊まっていました。
深夜。
一人がなかなか眠れずにいると、テツケンという化け物が入ってきて、眠っている二人の舌を抜いて食べているのが見えました。
男はあわてて小屋から逃げ出しましたが、逃げる途中につまづいて、熊のいる洞穴に転がり落ちてしまいました。
熊が驚いて洞穴の外に出たところで、そこにテツケンがやってきて争いとなりました。
夜が明け、男が洞穴から出てみると、テツケンの姿はなく、熊は傷ついて倒れていました。
「おい、大丈夫か?」
熊が両手で股間を隠します。
「シタを抜かれたべ」
・シタ=舌=下




