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279 応声虫1
応声虫は病気を引き起こす怪虫で、この病気に冒されると腹にデキモノができ、それはやがて口のようなものになって言葉を発しました。
さらにこの口は食べ物を欲しがり、病人がこれを拒むと大声でわめきたてたといいます。
その昔。
ある男に応声虫が入り、高熱が続いたあと腹にデキモノができました。
男は様々な薬をデキモノの口に飲ませ、その中でも特に嫌がるものを選んで飲ませました。
10日ほどのち。
男の尻の穴から、頭に角があるトカゲのような虫が出てきたので、男はその虫を捕まえようとしました。
ところが虫は、すぐに肛門の中に逃げ込んでしまいました。
男は怒り狂いました。
腹の虫がおさまらなかったのです。
・腹の虫=応声虫
・腹の虫が治まらない=腹が立って怒りがおさまらない




