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275 鍛冶が嬶
鍛冶が嬶は高知県室戸市に次のような話が伝わっています。
ある晩。
女が峠で狼に襲われたのですが、通りかかった飛脚に助けられ、木に登って逃れました。
狼たちが肩車を組んで襲いかかってきます。
飛脚は脇差で応戦しました。
狼たちは「佐喜浜の鍛冶が嬶を呼べ」と言い、しばらくすると白毛の狼が鍋をかぶって現れました。
飛脚が脇差しを振り下ろすと鍋が割れて、狼たちは姿を消しました。
翌朝。
飛脚が血痕をたどると佐喜浜の鍛冶屋に着き、そこには頭に傷を負った嬶が寝ていました。
飛脚は嬶を斬り殺しました。
床下には大量の人骨、さらには本物の嬶の骨もあり、鍛冶屋は飛脚に事実を知らされて驚くばかりでした。
「ホーネ!」
・ホーネ=骨=ほーね(そうね)




