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274 猫憑き1
猫憑きは憑き物の一種です。
日本各地に伝承があり、これは死者に猫の霊が憑くというものです。
岐阜県高山市の伝承。
猫が死者をまたぐと「ムネンコ」が乗り移り、死人が踊り出すといわれ、これを防ぐため、「死者の枕元に刃物を置く、葬式のときは猫を他人に預ける、蔵に閉じ込める」といった風習があったといいます。
愛知県知多郡の伝承。
日間賀島では死体を盗まれないよう、死人の上に刃物や機織り機の筬を置いたといいます。
佐賀県東松浦郡の伝承。
猫の魂が死人に乗り移らないよう、死者を北枕に寝かせ、布団にホウキを乗せ、やはり枕元に刃物を置きました。
この猫憑き。
刃物には近寄らず、決してハムカウことはありませんでした。
・ハムカウ=刃に向かう=刃向かう、歯向かう
・刃向かう、歯向かう=強いものに反抗する




