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271 目目連
目目連は江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』にあり、これは障子に無数の目が浮かび上がるとされています。
また仙台市出身の作家、山田野理夫の『東北怪談の旅』に次のような話があります。
その昔。
某商家の男が商いを終えの帰り、その夜の宿代を惜しんでいたところ、取引先の主人が使わなくなった空き家を貸してくれました。
深夜。
寝屋の障子に無数の目が浮かびました。
男はたいそう驚きましたが、一方で、これらの目を眼医者に売ればもうかるのではと考え、家人の目を盗んで、障子から目をはがし取って袋に入れていきました。
翌朝。
袋の中をのぞくと、多くの目にまじって家人の目も入っていたといいます。
・目を盗む=人に見つからないようにこっそりする
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔百鬼拾遺』(こんじゃくひゃっきしゅうい)
・山田野理夫(1922~2012・小説家、詩人)
・『東北怪談の旅』(1974年刊行・怪談集)




