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266 片葉の葦
片葉の葦は、江戸の本所を舞台とした「本所七不思議」の一つです。
江戸は本所の亀沢町に、お駒という気立ての良い美しい娘が住んでいました。
この日。
お駒が用あって駒止橋付近を歩いていると、そこへ以前からお駒に一方的に恋心を抱いていた留蔵がやってきて言い寄りました。
お駒はまったく取り合いませんでした。
袖にされて逆上した留蔵はお駒に襲いかかると、片手片足を切り落として殺害したうえ、お駒の亡骸を駒止橋の上から堀の中に投げ込んだのでした。
それ以降。
駒止橋付近の堀の周囲に生い茂る葦は、なぜか片方にしか葉がつかない片葉になったといいます。
お駒の足。
片葉のアシとなりました。
・片葉のアシ=片葉の葦=片足
・本所七不思議=本所(東京都墨田区)に江戸時代ころから伝承される奇談・怪談




