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262 袈裟切り地蔵
袈裟切り地蔵は、静岡県湖西市に次のような話が伝わっています。
その昔。
湖見坂という場所にあった六地蔵は、夜な夜な現れては人を化かすという噂がありました。
東海道の白須賀宿に泊まっていた若侍がその噂を聞きつけ、自分が化け物を退治するんだと意気込んで、湖見坂の地蔵のもとへと向かいました。
若侍が六地蔵のもとへ着くと、6体ある地蔵のうちの1体が一つ目の入道に化け、赤い舌を見せながら大声で笑い始めました。
若侍がすかさず刀で斬りつけると、入道は悲鳴をあげて消え去りました。
翌朝。
地蔵の1体が倒れており、それには袈裟がけに斬られた跡がありました。
この袈裟切り地蔵。
二目と見られぬ無惨な姿だったといいます。
・二目と見られぬ=一つ目の入道
・二目と見られぬ=二度と見る気にならない




