261/922
261 百々目鬼
百々目鬼という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『今昔画図続百鬼』にあり、それには腕にいくつもの目がある女が描かれています。
この腕の目はスリを繰り返していたため、盗んだ銭が腕に貼りついて目になったものだといいます。
その昔。
銭とみるや盗みを働く、手グセの悪い女がおりました。
ある日。
女の腕に銭に似た無数の目が現れました。
女は必死にはぎ取ろうとしましたが、それらの目は肌にぴったり貼りついていて、どうやってもはがれませんでした。
その目は女が盗んだ銭だったのです。
女はやがて役人に捕まりました。
腕についた銭が動かぬ証拠となって、スリが露見したのです。
「オアシがついちまったよ」
・オアシ=銭
・足がつく=犯罪事実が明らかになる
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔画図続百鬼』(こんじゃくがずぞくひゃっき)




