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255 妖怪宅地1
妖怪宅地は怪異の一種です。
これは江戸時代中期、浪華亭紀常因著『怪談実録』に次のような話があります。
江戸は西窪。
この地にあった畳屋は、夜中に突然、原因不明の大きな音がするようになりました。
困った主人が「近所に聞こえても困るので、夜中に騒ぐのだけは勘弁してほしい」と、誰かれになく頼んだところ、その夜から怪音はやみました。
ところが今度は、座敷の行灯や盆が宙に浮いたりするようになりました。
家族の者も最初は驚いていましたが、そのうちになれて恐ろしいとも思わなくなりました。
結局、畳屋は世間体を気にして、西窪から引っ越しましたが、この怪事がやむことはなかったといいます。
この畳屋。
最後は店をタタミました。
・タタミ=畳=たたむ
・店をたたむ=商売をやめて廃業する
・浪華亭紀常因(読み不明)
・『怪談実録』(かいだんじつろく・怪談)




