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254 かまきり坂 1
かまきり坂は怪異の一種です。
これはカマイタチの類いのものだとされ、新潟県小千谷市に次のような話が伝わっています。
その昔。
三島郡片貝村にあったかまきり坂には、人間を捕えて喰う、巨大なかまきりが現れたといいます。
そのため近隣の村の人々は、かまきり坂を通るときは、人喰いかまきりに見つからないようこっそりと通っていました。
ある大雪の日。
このかまきりが積もった雪の重みでつぶされて圧死しました。
それ以来。
この坂で転ぶ者は鎌で傷つけられたような傷口が生じ、さらにそこからどす黒い血が流れ出し、ひどく苦しんだといいます。
「おまえ、人喰いかまきり? まさか雪につぶされて死んだんじゃ」
「はい、アッシです」
・アッシ=圧死=あっし(わたし)




