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252 山囃子
山囃子は怪異の一種です。
静岡県浜松市に伝承があり、おもに深夜、人気のない山奥から笛や太鼓などの神楽の囃子が聞こえ、これは山の神が鳴らしているといわれました。
柳田國男著『秋風帖』によれば、かつての遠州阿多古では、この山囃子は狸の腹鼓だとされていました。
また遠州熊村では、実際に狸が腹鼓を打っているのを見たという者がいたといいます。
さらには何十人もの者が、この山囃子を同時に聞いたという話もあり、多くの者が幻聴や幻覚の類いではなかったと証言しています。
この山囃子。
現代では気象学的な現象とされています。
のちになって、証言者たちは作り話だったことをツツミ隠さず話しました。
・ツツミ=腹鼓=包み隠さず
・包み隠さず=何事も秘密にすることなく
・柳田國男(1875~1962・民俗学者、官僚)
・『秋風帖』(中部地方、佐渡、熊野を旅した紀行)




