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25 猫檀家
猫檀家は日本各地に伝わる民話です。
その昔。
とある貧乏寺は、その日の食べ物にもこまるようになり、和尚は飼っていた猫に暇を出しました。
すると猫はそれまでの恩返しにと、近いうちに長者の家で葬儀があるといって、和尚に策を授けます。
葬儀の日。
亡骸を納めた桶が宙に舞い上がりました。
参列者たちは驚き、僧侶たちが必死に祈祷するものの、桶はいっこうに降りてきません。
そんなとき、貧乏寺の和尚が経を唱えると桶が降りてきて、無事に葬儀をすませることができました。
以来。
桶の一件で和尚の名声は広まり、多くの人々がこの寺の檀家になりたいと集まってきました。
和尚がそれを嬉しそうに出迎えます。
「オーケー、オーケー」
・オーケー=OK=桶




