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248 女の大首
女の大首は江戸時代中後期、堀麦水著『三州奇談』に次のような話があります。
宝暦2年9月14日の夜。
猪口何某は某氏の屋敷の外で6、7尺もある女の大首に出遭いました。
このとき空がピカッと雷光して、首だけが笑って行き過ぎたといいます。
また矢嶋何某は、某氏の屋敷の塀の上に6尺ほどの女の大首がいるのを見たので、提灯を手に取って急いで戻りましたが、そのときはもう大首は消えていませんでした。
さらに別の侍は、火光に包まれた首が足元に寄ってきたのを蹴飛ばしたところ足が焼けただれました。
その際、沈香を焼いて塗ったところ、毒気は3日ほどで消えました。
この女の大首。
沈香でドッケ消えたといいます。
・ドッケ=毒気=どこかへ
・堀麦水(ほりばくすい・1718~1783・俳人)
『三州奇談』(さんしゆうきだん・加賀・能登・越中の奇談・怪談・珍談)
・沈香=沈香木からとった香料
・1尺=約30センチ




