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247 天井嘗
・筆舌=天井嘗
・記述なし=筆舌に尽くし難い=言葉では到底表現しきれない
・吉田兼好=(よしだけんこう・1283~1352・歌人・随筆家)
・『徒然草』(つれづれぐさ・随筆)
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『百器徒然袋』(ひゃっきつれづれぶくろ)
天井嘗という妖怪がおります。
冬の寒い日。
天井嘗は長い舌で天井をなめてシミを作り、そのシミは化け物や恐ろしい人間の顔に見えるため、人々は寝床で見上げると恐怖にかられたといいます。
この天井嘗。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』に描かれているのですが、この妖怪画集は吉田兼好の『徒然草』から多くの題材を得ており、この天井嘗の解説文にも徒然草第五十五段の「天井の高きは冬寒く燈暗し」という文が引用されています。
冬寒く燈暗し。
石燕はこの状況を、天井嘗が発生させていると解説しています。
ですが、それ以上の記述はありません。
この天井嘗のシミ。
筆舌に尽くし難いものだったのでした。




