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24 蛇帯
蛇帯という妖怪がおります。
これは江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』にあり、これには帯が蛇に化した姿が描かれ、蛇帯は幾重にもなって、妬み相手の男を絞め殺したとしています。
その昔。
一組の夫婦があったのですが、ある日から亭主が家に帰ってこなくなりました。
――よその女のところにいるのでは?
そう考えると、女房の心は張り裂けんばかりとなりました。
そんな夜。
女房の心の内に邪心が生まれました。
その邪心はやがて、枕元に置いてあった帯にとり憑きました。
帯が蛇に化身していきます。
蛇となった蛇帯は枕元を離れ、身をくねらせて這いながら部屋を出ていきました。
この蛇帯。
邪心が蛇身となりました。
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔百鬼拾遺』(こんじゃくひゃっきしゅうい)




