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237 牛痘児
牛痘児は江戸時代末、天然痘のワクチン接種の啓蒙用に配られた「摺り物絵」に載っているもので、その図は1850年に描かれたものが最初であり、それは各地で模倣され多数の異版が残されています。
当時の庶民の間では、頭から角が生えてくる、声が牛のようになるといった噂が広がり、接種を拒む者がいたため、緒方洪庵をはじめとする医師たちはこの摺り物絵を配布して、効能を宣伝しました。
牛痘児は白牛の背に乗る阿蘭陀生まれの童子で、種痘針の槍で赤鬼のような疱瘡神を追い立てており、その腕には接種の証である赤い斑点がありました。
この牛痘児。
今も疱瘡神を探しているといいます。
「どこにもオランダ」
・オランダ=阿蘭陀=おらんだ(いない)
・摺り物絵=江戸時代、暦・狂歌・俳句などに絵を加えて一枚摺りにしたもの
・緒方洪庵(1810~1863・天然痘治療に大きく貢献し、日本の近代医学の祖といわれる・武士・医師)




