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235 桂男1
桂男という妖怪がおります。
これは和歌山県東牟婁郡那智勝浦町に伝承があり、桂男は満月でない月をながめていると現れ、見る者を手招いて寿命を縮めたり、命を奪ったりしたといいます。
中国の神話によると、桂男は月に住んでおり、雲のような巨人であったといわれています。
唐の時代の古書『酉陽雑俎』に次のような話が記されています。
呉剛という男が、当時禁じられていた仙法を学んだ罪で、月の大宮殿にあった高さ500丈の巨大な桂の木を刈る刑罰を受けました。
ちなみに500丈はおよそ1500メートルです。
巨大な桂の木を刈る。
その木の高さからして、これはまるでクモをつかむような話でした。
・桂男=雲のような巨人
・雲をつかむような=物事が不明瞭ではっきりしていない
『酉陽雑俎』中国唐代の段成式による随筆




