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228 水鼬
水鼬は憑き物の一種です。
中国地方に伝承があり、これはテンに似た動物の霊だといわれ、これに憑かれた者は腹痛を患ったり、精神に異常をきたしたといわれています。
地方によっては人狐と呼ばれ、大きな池の柳の根の間などで何匹も重なり合って、大きな声を出して騒いでいるといいます。
鳥取県の伝承。
狐の憑いた家を「狐ヅル」といい、その家に憑いている狐を人狐と呼びました。
この家の周囲には75匹の眷属が遊んでおり、正体は雌の鼬だといわれました。
新潟県西頸城郡能生町の伝承。
明かりを灯さず、暗がりの水辺に近づくと、その者を水の中に引きずり込んだといいます。
この水鼬。
ムヤミに近づいてはなりませんでした。
・ムヤミ=暗がり=無暗
・むやみに=後先を深く考えず無分別に行動する
・眷属=一族の者、配下の者




