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225 河童石1
河童石は伝説の一種で、大分県臼杵市野津町に次のような話が伝わっています。
その昔。
野津村の某百姓が川辺で牛を洗っていたところ、水中から手が出てきて、牛の尻尾を引っぱりました。
百姓が驚いてその手を力まかせにつかむと、手がスッポリ抜けて男の手の内に残りました。
その晩。
百姓の夢に河童が出てきて、「川魚を岩の上に置いておきますので」と言って昼間の詫びを入れ、手を返して欲しいと頼みました。
翌朝。
百姓が昨日の川辺に行くと、夕べ見た夢のとおり岩の上には川魚があったので、百姓は岩の上に河童の手を置いて帰りました。
こうして川魚と交換することで、河童は自分の手を取り戻しました。
この河童。
ほかに手がなかったのです。
・手がなかった=手がスッポリ抜け
・手がない=方法がない




