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219 パヨカカムイ
パヨカカムイは疫病を司る神です。
これはアイヌに伝承があり、パヨカカムイは「歩きまわる神」という意味で、アヒルなど白い鳥の姿で渡り歩いて疫病をまき散らし、人の姿のときは唐草模様の衣を身にまとっていたといいます。
その昔。
ある村に貧しい一家があり、父親が子供に民話を語っていると、家の外でパヨカカムイもその話を聞いていました。
父親はそれに気づくと捧げ物をしました。
その晩。
パヨカカムイが夢枕に現れ、民話と捧げ物の礼だといって、疫病を避ける方法を教えてくれました。
それ以来。
この村の者は疫病にかからなかったといいます。
後日談。
「パヨカカムイさん、家の中をのぞいてたやろ」
「ミンワ、聞いてただけや」
・ミンワ=民話=見ないわ




