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217 青鷺火
青鷺火は怪火の一種です。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『今昔画図続百鬼』にあり、松の木の枝にとまって光っている、大きな鳥として描かれています。
とある古寺。
小僧がつく鐘の音が、夕暮れの空に、そして遠くの森まで響き渡ります。
夕闇が濃くなるにつれ、青白い光が鐘楼そばの松の木に集まってきました。
「和尚さん、またあの火です」
「おう、今夜も来たか」
「ねえ、和尚さん」
小僧が和尚にたずねます。
「松の木はどこにでもあるのに、どうしてうちの寺ばかりにやって来るのでしょう?」
「あれはことさら鐘が好きなんじゃ」
「鐘がですか?」
「あれの正体はサギでな。だからカネがあるところに集まるんじゃよ」
・サギ=鷺=詐欺
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔画図続百鬼』(こんじゃくがずぞくひゃっき)




