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213 宇津ノ谷峠の鬼1
宇津ノ谷峠の鬼は、静岡市と藤枝市の境にある宇津ノ谷峠を舞台とする伝説に登場する鬼です。
その昔。
峠のふもとにあった梅林院の住職が、腫物の血膿を小僧に吸い出させていたところ、小僧は人の血の味を覚え、やがて人を喰う鬼となりました。
ある日。
在原業平がこの地を通った折、村人を救うため地蔵菩薩に祈願すると、地蔵菩薩は僧に化身して鬼と対峙しました。
「わしの掌に乗るほど小さくなれるか」という僧に対し、鬼は小さな玉となって僧の掌に乗りました。
僧がすかさず杖で玉を打つと玉は10個に砕け、僧はそれらを一口に呑み込みました。
以後。
鬼は現れなくなったといいます。
鬼が悔しそうに言います。
「なんでウツノヤ?」
・ウツノヤ=宇津ノ谷=打つのや
・地蔵菩薩=一般的に「お地蔵さん」と呼ばれる




