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211 ニタッラサンペ
ニタッラサンペという妖怪がおります。
これはアイヌに伝承があり、その姿を見た者は運勢が悪くなるといわれました。
名前のニタッラサンペはアイヌ語で「湿地の苔の心臓」という意味があり、これと似た魔物にマリモの「トラサンペ」がいます。
姿かたちはトラサンペと同じく球形で、全長はおよそ20センチほど、またときには2メートルにもなったといわれています。
茶褐色の体には翼が生えていましたが、移動をするときは鳥とも獣ともつかない姿で、地面をころころと転がりました。
ある日。
ニタッラサンペが翼をたたんで休んでいると、そこへやってきたトラサンペが声をかけました。
「丸くなって何をしてるんだ?」
「キュウケイ」
・キュウケイ=球形=休憩




