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200 狐火1
狐火は怪火の一種です。
これは日本各地に様々な伝承があり、火の気のないところに提灯または松明のような火が一列になって現れ、それがついたり消えたり、また一度消えた火が別の場所に現れたりしたといいます。
時節としては春から秋にかけて現れ、特に蒸し暑い夏の日が多く、その正体を突き止めようとしても、必ず途中で消えて見失ったといわれています。
その昔。
狐火の正体を明かそうとした男がおりました。
あるときこの男が墓地で狐火を待っていると、やがてオレンジ色の怪しい火が現れました。
そこには1匹の狸がいました。
狸は明かりの灯った提灯を下げていました。
この怪火。
狐火でないことは火を見るよりも明らかでした。
・火を見るよりも明らか=疑う余地がなく明白である
・松明=木材あるいは木片を束ねて火をともす屋外用の照明具




