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196 くらやみ目
くらやみ目という妖怪がおります。
これは「手の目」の類いのものだといい、昭和に発刊された『妖怪魔神精霊の世界』に収録されており、仙台市出身の山田野理夫の解説文に次のようなことが記されています。
両方の膝がしらに一つずつ目がついており、暗闇でも平気で駆けることができるが、日の光はまぶしすぎて苦手なのか、昼間は物にぶつかったりする。
膝に目がある理由は不明である。
同じ目の妖怪の「手の目」のように、盲目の人が足を使って、自分から金を奪った者を探していたら膝に目ができた、また「尻目」のように、ただ人を驚かして喜びたいだけだともいわれている。
このくらやみ目。
明るいところではムヤミにぶつかったといいます。
・ムヤミ=無闇=くらやみ目
・むやみに=後先を深く考えず、無分別に行動するさま
・『妖怪魔神精霊の世界』(1979年発行)
・山田野理夫(1922~2012・小説家、詩人)