194/921
194 鉄鼠
鉄鼠という妖怪がおります。
平安時代。
天台宗三井寺の頼豪は祈祷により、白河上皇の皇子の誕生を成就させ、その見返りとして上皇に戒壇院建立を願い出ますが、敵対勢力の比叡山の横やりによって阻止をされてしまいました。
頼豪はこれを逆恨みして、皇子を魔道に落とそうとたくらんで断食に入りました。
百日後。
頼豪は断食で死にますが、その頃から皇子の枕元に怪しい白髪の老僧が現れるようになり、皇子は四歳にしてこの世を去りました。
その後。
石の体と鉄の牙を持つ巨大な鼠が、8万4千匹もの鼠を従えて延暦寺に現れ、経典や仏像を食い荒らしました。
この事件。
二度と邪魔をするなという、頼豪のチュー告だったといわれています。
・チュー告=鼠=忠告
・頼豪=(1002~1084・平安時代中期の天台宗の僧)
・白河上皇=(1053~1129・72代天皇)




